kate100s’s diary

百野毛糸の日記です。

『超AI時代の生存戦略』『マチネの終わりに』とか

最近は読書をする時間が長くて、いろいろな本を読んでいる。入院用に用意した本の中で夢中で読んだのは落合陽一さんの『超AI時代の生存戦略』。闘病中には過激かな、と思ったけど読んでいてわくわくする本だった。頭の回転の早いゼミの先生のお話を聞いているかのようなテンポで展開される未来像は想像より心地よく、ワークライフバランスじゃなくワークアズライフとか、知識にフックをかけていくとか、今後快適に生きて行くためのヒントがたくさんあった。こちらはKindleで読んだんだけど、紙の本でも欲しいかなー。けど寝っ転がりながら読めるからやっぱりiPhoneでよかったのかなー。

 

ずっと積ん読になっていた『マチネの終わりに』も読んでいる。以前読もうとしてあまりの社会派ぷりについていけなくて閉じてしまったことがあった。その時は身近な世界以外の話を読むのが本当に苦手だな、と少し落ち込んだけど、今は気持ちに余裕があるからかなんとか世界に入り込めた。

 

クラシックギターの奏者とジャーナリスト女性の恋愛の話なんだけど、高尚中の高尚といえるような会話で関係が深まっていく一方で行動のキーになるのはいつだって携帯とかメールとかすれ違いとか策略とかで、その辺はとても原始的というか。会話が高尚すぎるから「さっきのメール何?ありえなくない??」みたいなふつうのツッコミがないまま話が展開していくんだよな、という感想を持っている。すれ違いの半分は防げたんじゃないかな。。

 

でも、今は携帯のおかげで履歴とかがあるし、送ったと思ったものは絶対に送られている、という前提だからこそのすれ違いは起こっているのかもれない。特に、「返事がないのが返事」的な解釈は実は危険なのかも。気づいてないだけで、終わってしまった関係において、相手が本当はどういう状況にあって、何を考えていたかなんて永遠にわからないことの方が多いのかもしれない。

 

存在しなかった未来は、最近の創作物でよく見かけるテーマだ。『ララランド』もそうだったし、少し前に出た小沢健二の新曲もそうだった。まだ途中までだからなんとも言えないけど、二人がすんなり一緒になっていた世界を見てみたかった気もするし、その時点ベストじゃなくベターな選択をした結果の読み応えもほろ苦くてなかなかだなと思う。

 

角田光代さんの大好きな短編で、『誕生日休暇』という話があって、その中に出てくるエピソードを思い出した。

 

ある男性が彼女にプロポーズをしようと新宿のスタバで待ち合わせをする、その日は雨でスタバはとても混んでいた。彼が待ち合わせに遅れる、と連絡した時彼女はスタバに入れず外にいた。彼女は偶然元彼に会ってしまう。久しぶりの再会は懐かしく、彼は遅れるというのでちょっとだけ一緒に飲むことにする。再会飲みはとても盛り上がり、今日だけならいいか、と、彼女は彼に「お腹が痛くなっちゃったからなかちゃん(共通の友人)の家に泊まるね」と嘘の連絡をする。普段だったら「わかった」と返信するところだけど、なにしろ彼はプロポーズをする予定だったからどうしてもその日に会いたくて、仕事の終わりになかちゃんの家にいく。そこにいたのは結婚記念日のごちそうを用意して一人待つなかちゃんだった。なかちゃんの夫はいつになっても帰ってこない。なかちゃんは彼に「これ、一緒にやっつけて」とお願いする。

 

その日をきっかけに彼と彼女の人生は大きく変わる。結論としては彼はたくさんの「あの時、もし」を抱えながらなかちゃんと結婚式をあげるためにハワイのマイナー都市にいる。ちょっとしたタイミングのずれとか、小さな嘘とか、そういうのは日常につきものだし、突飛な話だけど妙なリアリティがあって印象に残っている。

 

どうなんだろう。大人な対応はこういうタイミングのずれとかすれ違いを加速させちゃう気がしてきたけど、追求する姿勢が何かを逃すこともあるし、難しい。国際問題とかクラシック音楽への造詣も深くない私なので『マチネの終わりに』を適切に読めているか自信はないけど、恋愛には男側から見た真実と女側から見た真実が別々に存在していて、今の私のように俯瞰して「それ違うよ!」という視点を持つことは不可能だということ、それでもその場その場でいろいろな選択をしていかなきゃいけないこと、そう考えるとうまくいっている関係とか実は奇跡、みたいな考えがぐるぐる浮かんでいる。

 

主人公二人の、即物的じゃない恋愛の感じもとても印象的だった。洋子のように外見の美しさと内面の豊かさ、知性をこんなに感じられる女性は稀有で、実際身近にいたら気後れしてしまいそう。それにしても自分と同年代の方々の話だったので、こんなに高尚な観点で相手を好きにならなきゃいけないのか、と本当に驚いたし、いろんな意味で、我が身を省みたいと思う。もう既に何がハッピーかなんて簡単にいえないストーリー展開になっているけど、二人が幸せになりますように。